フィレンツェ3日目はバスを乗り継いでサンジミニャーノへ向かいました。サンジミニャーノは今回のトスカーナ巡りの中でも特に楽しみにしていた街。
しかし行きのバスでとんでもない事態が発生!バスの乗客の7、8割ぐらいの人が、正規のバス料金を支払っているにもかかわらず、1人1万円以上の罰金を払うことになってしまったのです。
これからイタリアでバス旅を計画されてる方の役に立つように、詳しくその顛末を書いていきますね。

サンジミニャーノに行くには、駅前のバスターミナルからシエナ行きのバスに乗り、ポッジボンジでの乗り換えが必要です。でも心配はご無用。シエナへの直通バスではなくポッジポンジ経由に乗る人の多くがサンジミニャーノ目的なので、みんなと一緒にいれば乗り換えられます。
当日の朝、バスの時間を確認して窓口で、往復15€(片道7.5€)のチケットを買った私たちは、9時40分発のバスに乗り込みました。

もちろんYouTubeの事前学習で、チケットの打刻(バリデーション)の大切さもしっかり予習済みです。
バスは大型観光バスのような形で、前から乗るタイプでした。バスが到着した時に運転手さんはいったん下車したので、スタッフが誰もいないバスに乗客が順に乗り込んでいきました。

乗り込む時に打刻機を見て「???」となりました。窓口で発券されたチケットはペラペラの紙で、ちょうどATMの利用明細書のような大きさなのに、打刻機の挿入口は幅5cmほどしかありません。どう考えてもこれはペラペラチケット用の打刻機ではなさそうです。

運転席付近を見渡すと、クレカタッチ決済用の機械があったのでQRコードをかざしてみたり・・・
打刻方法を聞こうにも運転手さんは下車しておらず、後ろにもたくさんの人が並んでいたためぐずぐずするわけにはいきません。前の人たちは打刻せずにそのまま乗り込んでいたので、「今窓口で買ったばかりのQRコード付きのチケットは、このまま乗って大丈夫なのかな?」ととりあえず判断し、バス後方の席に着席したのでした。

ここからしばらくは楽しいバス旅。久しぶりのトスカーナの景色に、胸を躍らせていました。
バスが行程の半分を過ぎた頃、バスの中央付近で何か言い争うような声が聞こえてきました。「何かあったのかな?」
会話は途切れることはなく、それどころか他の乗客とも言い争う声も聞こえてきました。通路から覗いてみると、スキンヘッドの黒いベストを着た乗務スタッフのおじさんが見えました。
「無賃乗車?」
「こんな長距離路線で?」
おじさんが近くまで回ってきて、状況が飲み込めました。なんとチケットに打刻をしていない乗客が、次々と罰金を払わされていたのです。
サンジミニャーノに向かう多くが観光客。私のように窓口で正規のチケットを買い、打刻のシステムがわからず、あるいは必要性を知らず乗車した人ばかりです。というわけで周りの人もほぼ全滅でした。
私のところまで回ってきた時は、係の人は「もうわかってるね」といった感じでした。
夫は「これが海外。納得して罰金を払おう」という感じでしたが、一応スタッフの方に、打刻機を探したけど見つからなかったこと、QRコードをかざしたりトライしたことを話しました。すると、「Sorry,Madam」と高圧的な態度を少し緩めてくれました。しかしもちろん罰金を逃れられるわけもなく1人60€、2人で120€をカードで支払いました。
2人で2万円ほど、ちょっと高い授業料でしたが、勉強になりました。
その後ほどなくしてバスはポッジボンジに到着。バスを降りた時に会話をかわしたニュージーランドから来たご家族の罰金は、なんと4人分。

乗り換えのバス待ちの乗客同士、「次のバスでは絶対に打刻を忘れないようにね!」と、不思議な連帯感が生まれました。
サンジミニャーノ行きのバスでは、みんなが打刻を求めるので、運転手さんがさらさらとサインで対応。

で、打刻の正解はなんだったのか?
それは帰りのバスで、イタリア人の方から教えてもらいました。
「バスのチケットを半分に折って、打刻機に差し込む」


難易度高過ぎ〜。





