美術館・美術展

犬島のアートを詳しくご紹介します。瀬戸内芸術祭以外の時期こそ犬島がオススメです。

こんにちはずーちゃんです。瀬戸内アート旅の2日目、午前中は豊島の家浦港から犬島に向かいました。

犬島は直島や豊島に比べると小さな島です。

犬島の「家プロジェクト」は、家を巡りながら、小さな島を徒歩で回る楽しさがあります。また犬島精錬美術館は、実際に銅の精錬所として使われていた建物を利用しているので、美術館周辺はまるで映画の世界に紛れ込んだかのようなダイナミックな景色が広がっているのです。

今回の瀬戸内アートの旅でもっとも期待をしていたのがここ犬島であり、実際に直島、豊島、犬島と回って、一番好きな島はここ犬島でした。

チケットセンターで音声ガイドを借りるのがオススメ

船を降りると左手にきれいな建物が見えますが、そこが犬島チケットセンターです。

犬島に上陸したほとんどの人が、犬島精錬美術館と家プロジェクトの共通チケット2,000円と、帰りの船のチケットをここで購入します。(豊島で往復の乗船券を買うことはできず、ここで帰りのチケットを買うシステムになっているようです。)

チケットセンターでは音声ガイドの貸し出しが500円であり、利用しましたが、これが大正解でした。特に「家プロジェクト」の作品理解と犬島精錬所の歴史を知ることにとても役立ちました。

犬島のアート巡りの裏技が大成功!!

犬島には定員65名の「ラブバード」で午前10時15分に到着しました。船は「直島ー豊島ー犬島」と運航しているので、直島からのお客さんも多く、船内はほぼ満員でした。

この65名のメンバーと行動をずらせば、アート作品を一人でゆっくり鑑賞できると考えた私は、犬島チケットセンターから真正面に見える「犬島精錬所美術館」には向かわず、途中でこっそり横道にそれて、先に「家プロジェクト」に向かいました。

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これが大成功でした。音声ガイドを借りた人は、順路が「犬島精錬所美術館」からになっていますし、ほとんどの人もやはりそちらの方角に向かって行きました。

実は「犬島精錬所美術館」の「柳幸典」の作品を、どうしても一人で鑑賞したかったので、こうした工夫をしたのですが、結果的に「家プロジェクト」も一人でのんびり鑑賞することができとってもラッキーでした。

「家プロジェクト」を紹介します

犬島の家プロジェクトの素晴らしいところは、まず建築の全てを「妹島和世」が手がけているということです。今さら紹介するまでもありませんが、「妹島和世」は建築界のノーベル賞ともいわれる「プリツカー賞」を受賞した日本人では唯一の女性建築家です。(ちなみに私の大学の先輩です。学科は違いますが・・・)

家プロジェクトは、もともとあった古民家の構造を生かしつつも、アートを彩る空間として美しく、しかも犬島の自然に溶け込むよう蘇っています。

また家プロジェクトを回っている間に、犬島の小道を登ったり下ったり、知らず知らずのうちに犬島の自然の素晴らしさが体験でき、家プロジェクトだけではなく犬島のファンになること請け合いです。

ちなみに全ての家にアルファベットのイニシャルが付いていますが、これはもともとの持ち主の方の名前の頭文字だそうです。

ではさっそく1軒ずつ見ていきましょう。

F邸 Biota (Fauna / Flora)  名和晃平

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この建物には靴を履いて入室しますが、中は写真撮影不可となっています。そのため外から撮影しています。

真ん中に大きな部屋があります。そして外からは見えませんが、大きな部屋の両端に坪庭のように塀に囲まれた部屋があります。

この白い雲のような物体は「今生命が誕生する瞬間」を表しています。左の坪庭のような部屋には「そのまま動くことを選んだ生命体」が展示され、右の坪庭のような部屋には「動かないことを選んだ生命体」が展示されています。

特に左の部屋は、名和晃平らしいモチーフでとても可愛らしいです。

 石職人の家跡/太古の声を聴くように、昨日の声を聴く 淺井裕介

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この場所はかつて石職人が弟子を住まわせていた家跡だそうです。犬島動植物が石に描かれています。家跡の小道は通ることができるので、大きな絵の中に隠れている なんとも可愛い動物の絵を見つけ出すのも楽しいです。

S邸 コンタクトレンズ 荒神明香

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犬島の長閑な道を通っていると突如現れるアクリルの物体。しかし高さが周りの家並みと同じなので、不思議と周りに馴染んでいます。コンタクトレンズのタイトルが表すように、大きさや焦点が異なる約5,000枚のレンズが埋め込まれています。作品の裏側の広場に回ると、一つ一つのレンズに道の向こうの家が逆さまに映っています。

のんびり眺めていると、レンズの向こうに犬島の人が歩いているのが映ったり、広場に置かれたビーンズチェアに腰掛けて作品全体を楽しんだりと、自分と作品が関わって犬島の時間を味わうことができる素敵な作品です。

A邸 リフレクトゥ 荒神明香

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「コンタクトレンズ」のすぐ近くに「リフレクトゥ」はあります。こちらは「コンタクトレンズ」が発展した作品ということで、3年後に発表されています。

美しい花びらは、実は造花を解体したものです。アクリルは何層かに分かれており、花びらに奥行があります。また360度ぐるっと囲まれた中に入ることができ、中から花びらを通して犬島の景色を眺めることができます。

タイトルの「レフレクトゥ」は、実はこの作品は真ん中から上下対称になっていて、それがあたかも川の水面に花々が映っているかのように見えるところから名付けられているそうです。

中の谷東屋 妹島和世

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ここには昔タバコ屋さんがあったということで、みんなが集まっておしゃべりを楽しむ場所をイメージして建てられたそうです。アルミの屋根と無垢の鉄の柱でできています。

屋根の下に置かれた「ラビットチェア」は妹島和世と西野立衛からなる建築ユニットSANAAの作品ですが、アルミ製のラビットチェアは犬島オリジナルです。

C邸/エーテル 下平千夏

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この建物も建物内は撮影不可で、外からの撮影になります。

築200年の大きな建物で、かつては庄屋でしたが、近年は島民の集まる場所として使われていたそうです。

緑色の糸は、光が目に見える形になって空間にあふれている様子を表しています。手前に見える階段から2階に登ることもでき、高いところから家いっぱいに広がった水糸を見ることができます。

I邸 Self – loop  オラファー・エリアソン

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この作品も建物内は撮影不可になります。

建物の中には大きさの異なる3つの鏡があり、そこには庭の景色、犬島の風景が映り込み、自分自身の姿を改めてその場所に置くことで、客観的に自分と犬島を眺めることができます。

建物前の庭には犬島の季節の花々が咲き誇っていますが、これは島民の皆さんが毎朝お世話をされているということでした。

家プロジェクトから犬島精錬所美術館に向かう途中で嬉しいサプライズが。

海沿いの道に描かれているのは、淺井裕介の絵!!

I邸を出てまっすぐ海の方に進んで右に曲がるとすぐ現れます。お見逃しなく。

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犬島精錬所美術館 三分一博志(建築)柳幸典(作品)

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犬島精錬所は100年前の約10年間、銅の精錬所として使われていた遺構を、三分一博志が美術館として再生しました。建物には「犬島御影石」と呼ばれる犬島産の石や、銅の精錬の際の残りカスであるカラミを固めて作られた「カラミレンガ」が使われています。中の展示はすべて「柳幸典」の作品です。

(犬島御影石は、岡山城や大阪城だけでなく、江戸城にまで使われたそうです)

「柳幸典」の美術館の作品のタイトルは「ヒーロー乾電池」。これは三島由紀夫が住んでいた家の玄関のチャイムに用いられていた、乾電池名に由来するそうです。

特に一番最初の作品は、先入観なしで体験して欲しいので、あえて何も書きません。犬島に行って体験してください!!

(実は私は昨年の横浜Bankartで開催された、柳幸典「ワンダリング・ポジション」展で作品を体験して超感動したのです。犬島で再度感動しました。)

ちなみに、犬島精錬所美術館は「日本建築学会賞」「日本建築大賞」を受賞しています。

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美術館の作品数はそれほど多くありませんが、三分一博志の建築や周辺の遺構と合わせてじっくり回ると、それなりの時間がかかります。「犬島御影石」の採掘場跡にできた池や、発電所の跡地など、見応えがあります。

最初に書きましたが、犬島はこれらの作品をすべて歩いて鑑賞することができます。

10時15分に犬島に上陸して13時の船で豊島に戻りました。

犬島は、2時間45分でも十分楽しむことができましたが、時間があれば、さらにのんびりできる場所です。そんな気分にさせてくれる自然があります。

またチケットセンターに併設されているカフェが素敵なので、海風にあたりながらランチやティータイムを楽しむのも良いですね。残念ながら、今回はそんな時間がありませんでした。まぁ作品を回るのに、他の人より時間がかかってしまうというのもありますが・・・

私の個人的な意見になりますが、瀬戸内芸術祭以外の時期なら、犬島が一番のおすすめです。 少し行きにくいこともあって比較的空いている上に、小さな島にアート作品がぎゅっと詰まっているので、どっぷりアートに浸れる体験が心地良いです。

さぁ午後は豊島に戻って、自転車で豊島を満喫することにしましょう。