ワシントン編

フリーア美術館 孔雀の間でホイッスラーの姫君に会える

今日紹介するフリーア美術館も、ワシントンD.C.のスミソニアン美術館・博物館群の一つです。スミソニアンの中では知名度の低い美術館ですが、実はアメリカが誇る革新の画家「ホイッスラー」のコレクションがとても充実しているのです。

またここには、ホィッスラーの最高に素晴らしい問題作?「孔雀の間(ピーコック・ルーム)」があり、そこにはジャポニズム感いっぱいの「陶磁の国の姫君」という作品が展示されています。

ではさっそくフリーア美術館をご案内することにしましょう。

美術館について

フリーア美術館は、スミソニアン美術館・博物館群の一つなので、入館料は無料です。幸せ〜。

場所は、スミソニアン協会をはさんで自然史博物館の反対側になります。地下鉄スミソニアンからは徒歩1分です。

フリーア美術館の主な展示内容は、日本、中国、インドなどのアジアの古美術品ですが、フリーアのコレクションであるホイッスラーら、アメリカ画家の作品も多く展示されています。

隣接するアーサー・M・サックラーギャラリー(古代アジア・中東地域の美術作品を展示)とは地下で繋がっていて、両方を合わせて「フリーア&サックラー美術館」と呼ばれることもあるようです。

フリーアはホイッスラーの最大コレクターだった

フリーアギャラリーは、デトロイトの実業家であるフリーアの寄贈したコレクションが中心となっています。そしてこのフリーアは、ホイッスラーの親友であり、同時に最大のコレクターであったのです。

フィリップスコレクション、ボルチモア美術館のコーン姉妹といい、アメリカにはありえないスケールのお金持ちが多かったのですね。

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全体的に落ち着いた印象のギャラリーですが、スタッフの皆さんはとても気さくで、あちこちで声をかけてくれましたよ。

ホイッスラーの作品をご紹介します

それでは、ホイッスラーの作品の一部を見ていくことにしましょう。

「青と緑のバリエーション」

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「Venus rising from the sea」

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「フリーアの肖像画」

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すみません、ここから2つのホイッスラーの作品はタイトルがわかりません。

平面的な画面構成はジャポニズムの影響を強く受けていたという、ホイッスラーらしい1枚ですね。

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静寂さが漂う絵の中央に、昇る(あるいは沈む)太陽を描くことで、ゆっくりとした時間の経過が伝わってきます。良い作品ですね。

次の絵も背景をあえて描かない浮世絵の特徴を取り入れていますね。人物がより印象的に、こちらに伝わってきます。

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「青と銀のノクターン」このシリーズは有名ですね。

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「青と金のノクターン」

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ホイッスラー以外も見ごたえあり

フリーア美術館にはホイッスラー以外のアメリカ人画家の作品もすばらしいです。

サージェント「ロッジアでの朝食」

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私は知らなかったのですが、これは有名な作品なのですね。

朝のキラキラとした太陽の光が、絵画の中からこちらに降り注いでくるような気持ちの良い作品です。

サージェント「ヤギのいる風景」

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サージェント「グラナダの機織り」

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ホーマーの作品もありました。ナショナルギャラリーでは、強い風を受けながら海を走るヨットの絵を見ましたが、こちらは一転して、静かな印象の人物画です。

ホーマー「early evening」

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階段の踊り場に飾られたセイヤーの作品。大きな作品が突然現れたのでびっくりしました。

「the virgin」

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「the virgin」は聖母マリアを表しているのでしょうか。正面を向き堂々と歩く姿は、従来のマリア像とは大きく異なりますね。女性の力強さの中の美しさを感じます。

セイヤーは自分の子どもたちをモデルにした絵をいくつか描いていますが、それぞれのモデル年齢からしてこの作品もそうだと思います。

背景の雲がエンジェルの羽のように見えるのは意図的なもの?

なんていろいろ想像しながら、階段を上下しながら楽しませてもらいました。

圧巻の孔雀の間

ホィッスラーの代表作の一つ「陶磁の国の姫君」はここフリーア美術館の「孔雀の間(ピーコックルーム)」にあります。

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ホイッスラーの東洋趣味がこれでもかというくらいに炸裂しています。

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もともとはホイッスラーのパトロンのダイニングルームだったというこの部屋は、陶磁器のコレクションを飾る棚を設えた、もっと英国調のものだったようです。

最初、パトロンは他の人にデザインを依頼し、ホイッスラーはそこに飾る絵画の製作を任されていました。その後デザインを行っていた人が病に倒れ、ホイッスラーは部屋のデザインを引き継ぎます。そんな中ホイッスラーは、自身の作品「陶磁の国の姫君」に合うように、部屋のデザインを勝手に大きく変えてしまいます。

しかしその結果パトロンとの間に軋轢が生じ、その庇護を失ったということなのです。

自分の家のダイニングルームが知らない間にこうなっていたら、さすがにびっくりするかも・・・

素敵なんですけどね。

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その後フリーアがこの部屋を買い取り、ここフリーア美術館に移設されました。

今ではその価値も大きく認められているということですから、アーティストにとって、人からなんと言われても、自分の美をとことん追求することって大切なんだなーと思います。

日本美術、アジアの美術作品がいっぱい

ワシントンの美術館ということで、ホイッスラー推しで書いてしまいましたが、フリーア美術館のメインはやはりアジアの美術作品です。

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日本美術もいくつかの展示室があり、1600年代の住吉大社や下鴨神社の、それぞれ六曲一双の屏風絵は見応えがありました。

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ブログの情報では、俵屋宗達の絵があるということで楽しみにしていたのですが、そちらは展示されていませんでした。

インドのシバ神も。

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地下の展示室も面白い

地上の作品を見終わった後、地下はおまけのつもりでいたのですが、こちらもなかなかの充実ぶりで、良い意味で予想外でした。

チベット仏教の祭壇を再現した展示。

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読経が流れ、あまりにもあの世へのトランス感が強かったので、カメラを向けるのもはばかられました。なので展示の外からパチリ。

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中東アジアの仏像も充実。もしかしたら知らないうちに隣のアーサー・M・サックラーギャラリーに入っていたのでしょうか?

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フリーア美術館に入館するときに、受付の方にすごく勧められたイカット展にも行ってみました。

イカットとは、インドネシアやマレーシアの絣のことらしいのですが、すごく可愛くて、ミュージアムショップで黄色いイカットのスプリングコートを買いそうになってしまいました。

しかしワシントンD.C.に来ていることを思い出し、いつかインドネシアに行った時に買おうと思い直しました。

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地下にあるミュージアムショップでは、日本の着物や藍染、小物なんがも売っていました。もちろんインドや中東アジアの雑貨もありました。

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外に出ると日本との交流が深いからでしょうか、フリーア美術館の裏の庭の桜は、どこよりも見事に咲いていました。

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実は私がワシントンD.C.に行ったのは、日本がちょうど桜満開の3月下旬、日本でお花見には行けなかったけれど、ワシントンでばっちり堪能することができました。