アートよもやま話し

「アートのなぞなぞ 高橋コレクション展」静岡県立美術館に行ってきました。

静岡県立美術館で開催されている「アートのなぞなぞ 高橋コレクション」に行ってきました。

そりゃあもう、現代アート好きの人にはたまらないラインナップですよ。なんたって「高橋コレクション」ですからね。

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ところで「高橋コレクション」って何?それって誰?となりますよね。

はい、それが普通です。

しかしこのブログをクリックしたところを見ると、現代アートに興味が湧いてきていますね。

そんなあなたに、まずは「高橋コレクション」を解説して行きましょう。

「高橋コレクション」とは

まず高橋さんの名前は「高橋龍太郎」さんです。東京で精神科・心療内科のクリニックを開業するかたわら、アートに関する本を出したり、ニッポン放送「テレフォン相談」のアドバイザーをしています。

1998年、高橋さんは52歳の時に、草間弥生の新作展で2点の作品を購入します。これが現在2,500点を超える高橋コレクションのスタートとなります。

高橋さんは精神科医として勤務しながら、休みの日や空き時間を利用して、現代美術を扱う画廊を回り、今もご自身の手で現代アートの収集を続けているということなのです。

しかし驚くのは、草間弥生や村上隆、奈良美智、会田誠、鴻池朋子といった、日本を代表する現代アートのビッグネームらの作品を、一精神科医でありながら、たった20年ほどの間に、2,500点も集めたということです。

なぜそんなことが可能だったのかも、不思議ですよね。

その理由としてあげられるのが、

・1990年代以降現代アートの評価を取り巻く状況が、大きく変化したこと

(20年前は、現代アートに対する評価も、作品のお値段も、現在ほどは高くなかった)

・一個人だからこそ、まだ評価の定まらない若手の作品をどんどん購入できた

(公的な美術館だと、作品の購入も慎重にならざるを得ない)

ということなんですが、それ以上に、高橋さんがダイヤの原石を見出す審美眼を持っていたということが、一番の理由のような気がします。

20年前は巨匠も若手だった

つまり今は現代アートの巨匠も、20年前は20年分若かったんです。

現在、奈良美智58歳、村上隆56歳、会田誠52歳、鴻池朋子57歳・・・とちょっと大御所感のある年齢ですが、20年前はみんな30代。まだ評価され始めた頃だったのですね。

あの草間弥生も、実は1989年のニューヨークの回顧展で再評価をされて、こんなにビッグに返り咲いたのです。1900年代なら、市場に、昔の作品も出回っていたということでしょうか。

草間彌生 1970年代〜1990年代の作品(アートのなぞなぞ 高橋コレクション展より)

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高橋コレクションは進化している

高橋コレクションのすごいところは、今もなお、新しいアーティストを発掘し、私たちに発信し続けてくれているところです。

「一流のコレクターが評価している作品」ということで、若手が注目を浴びて、世の中に出て行く。そしてコレクターの資産価値もまたどんどん上がっていく。そしてますますコレクションが増えていく。これぞコレクターの極みですね。

桑田卓郎 陶芸も現代アートだとこんな感じに。メタリックな茶碗が意外と渋い!(アートのなぞなぞ 高橋コレクション展より)

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アートのなぞなぞ 高橋コレクション展

さて本題の展覧会の感想ですが、まずは静岡県立美術館の入り口の鴻池朋子の「皮緞帳」から度肝を抜かれます。

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大きな大きな、皮でできた緞帳です。緞帳ね描かれた絵は鴻池朋子ワールド満載で、ずっと見ていても飽きません。鴻池朋子の可愛らしさとオドロオドロらしさの融合加減は、ほんと心地よいです。

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展示室に入ると、まさに「アートのなぞなぞ」。

「この作品は絶対アレの影響受けてるよね」のアレを丁寧に展示してくれています。

それは日本画だったり、浮世絵だったり、書道だったり。

もちろんアーティスト本人が言葉にしたわけではないので、何を一緒に展示するかは、キュレーターの腕の見せ所、といった感じでしょうか。

「この作品はアレっぽいんだけどなぁ」なんて、自分なりに想像しながら見るのも、また面白いですよ。

高橋コレクションからは、先述の巨匠の面々の作品をはじめとして、加藤泉、小谷元彦、樫木知子、ob、Mr、ヤノベケンジ、山口晃、まだまだそのほかいっぱい、ビッグネームから若手まで本当に多くの作品が展示されています。

そしてそれらに影響を与えたであろう古典的な作品も展示されているのですが、そちらもかなり魅力的。

どっちが現代アートかわからないほど、のびのびと描かれた作品もあり、日本の芸術の奥深さを改めて感じました。

撮影可能な作品の中から、一例を挙げると(これはわかりやすすぎですが・・・)

伊藤若冲の「樹花鳥獣図屏風」18世紀後半 と

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チームラボの「世界は統合されつつ、分割され、繰り返しつつ、いつも違う」2013

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若冲がマス目で描いた図屏風を、チームラボはピクセルという現代のマス目を使って描いています。

併設されている「ロダン館」にはロダンの彫刻と並んで

西尾泰之の「素粒の鎧」
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ロダン館では、西尾泰之のもう一つの作品「REM」

彫刻の新しい見方を体験しました。

触れられて触れられない。彫刻を足の裏まで360度堪能。とまるでなぞなぞのようなコメントになりますが、そんな体験ができます。

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会期は2月28日までと残り10日ほどですが、興味のある方はぜひ。

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